2024年11月、意匠法に関する国際条約を確定するための外交会議がサウジアラビアのリヤドで開催されました。知的財産権に関する国際条約については、すでに「特許法条約」(2000年6月1日採択)、「商標法条約」(1994年10月27日採択)、「商標法に関するシンガポール条約」(2006年3月27日採択)などが存在しますが、今回、意匠法に関して、新たに「リヤド意匠法条約」が採択されました(2024年11月22日採択)。国ごとに異なる国内手続を簡素化し、出願人の負担軽減を図ることを目的としたもので、主な内容は以下の通りです。
①出願時及び各種申請時の書類に関して、締約国が要求する要件や記載事項を列挙・明記すること及び更なる要件を課すことを禁止すること
②意匠を最初に公開した日から12か月の間、その意匠の新規性等が喪失しないものとして取り扱うこと
③出願日から起算して最低6か月、出願・登録意匠を非公表のまま維持すること
④期間徒過した場合の救済措置を導入すること
⑤優先権主張の訂正又は追加を認めること
⑥優先期間の経過後であっても、一定の基準及び条約・規則で定める要件が満たされることを条件として優先権を回復すること
⑦意匠登録の更新手続を簡素化すること、など
<WIPO資料より引用>
Riyadh Design Law Treaty, Regulations Under the Riyadh Design Law Treaty and Resolution by the Diplomatic Conference Supplementary to the Riyadh Design Law Treaty and the Regulations Thereunder
https://www.wipo.int/meetings/en/doc_details.jsp?doc_id=639157
日本においては、すでに条約の内容に沿う制度の整備が行われてきましたが、一部の内容(例えば、優先権主張の訂正又は追加等)については、今後、さらなる制度の整備や改正が必要になるものと考えます。