不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争の実現を目指す法律です。同法が禁止する不正競争行為の類型は以下の通りであり、類型に応じて、民事的及び刑事的措置の双方が講じられるもの、民事的措置のみが講じられるもの、刑事的措置のみが講じられるものとがあります。

<経済産業省資料より引用>
不正競争防止法の概要
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/unfaircompetition_new.html
2025年1月下旬、海外から輸入した中華鍋を説明書やネット上で“日本製”などと表示し販売したとして、不正競争防止法違反で会社関係者が逮捕されたというニュースがありました。輸入品の雪平鍋に「日本製」や「MADE IN JAPAN」などの虚偽の表示をして販売譲渡した疑いがあるほか、ネットショッピングサイトに、「モノづくりで有名な燕三条の工場で作りました」などの虚偽広告を掲示したとのことです。当該事件の逮捕容疑となっているのは、上記類型のうち、商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起行為(同法第2条1項20号)です。
不正の目的をもって、原産地、品質等の誤認惹起行為(同法第2条1項20号)を行った場合、刑事的措置としては最大5年の懲役または最大500万円の罰金もしくはその両方が科される可能性があります。また、民事的には、営業上の利益やブランド的な価値を侵害されたとして、競争関係にある他の事業者から損害賠償請求や信用回復のための措置を求められるケースが考えられます。
なお、不競法はあくまで事業者間の公正な競争の実現を目指す法律であり、民事上の請求主体は、誤認惹起行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者であり、一般消費者には原則として請求主体性が認められません。