仮想空間において用いられる画像の意匠登録出願

近年、メタバース等の仮想空間に関する知的財産の保護について様々な議論がなされており、法の整備や審査基準等の改正が進められています。そのなかで、仮想空間において用いられる画像に関しても、現行意匠法における画像意匠として保護可能な範囲が整理され、審査の基準が明確化されました。

なお、画像意匠と言っても、全ての画像が意匠法の保護対象となるわけではなく、①「機器の操作の用に供されるもの」又は②「機器がその機能を発揮した結果として表示されるもの」に限定されています(意匠法第2条第1項)。言い換えますと、機器とは独立し、その内容自体を表現の中心として創作される画像については、意匠登録を受けることができません。仮想空間において用いられる画像に関しても、①又は②の少なくともいずれか一方に該当していることが必要となります。

以下は、保護対象となる画像と認められる事例と認められない事例の紹介です。

上記事例において、仮想空間内における線の描画に用いるアイコン用画像は、画像を選択することで描画機能を立ち上げて、機器の描画操作に用いることができることから、意匠法上の「画像」に該当するものと判断されます。

上記事例において、仮想空間上の任意の場所に配置可能なボールペンの画像は、単に画像を表示する機能のみによって表示されているため、「機器がその機能を発揮した結果として表示される画像」には含まれず、「機器の操作の用に供される画像」でもないことから、意匠法の保護対象となる「画像」に該当するものとは認められません。

<特許庁資料より引用>

出典:「仮想空間において用いられる画像の意匠登録出願に関するガイドブック」

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/document/kaso-gazo-guidebook/guidebook.pdf

メタバース等の市場が急速な成長を遂げるなか、今後、仮想空間上の画像デザインについても、その保護ニーズがますます高まるものと考えます。