近年、インターネット上の仮想空間であるメタバース上での経済活動が高い注目を集めています。総務省によれば、日本のメタバース市場は、2026年度には1兆42億円まで拡大すると予測され、さらに、世界のメタバース市場に関しては、2030年には123兆9,738億円にまで拡大すると予想されています。
<総務省資料より引用>
令和5年版『情報通信白書』メタバース
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd247520.html
ところで、特許庁による第17回意匠制度小委員会(2025年2月10日開催)で配布された資料によれば、仮想空間におけるデザイン等の創作活動を行うクリエイター(仮想空間におけるデザイン等の制作を行ったことがある425名)を対象に、法規制によるクリエイターへの萎縮効果の有無等について把握するためのアンケート調査を実施した結果、以下のような回答があったとのことです。
・仮想空間におけるデザインを模倣された経験がある者(「頻繁に模倣されている」「模倣されたことがある」の合計)は約5割。
・仮想空間におけるデザインの模倣に対し、特に対応・対策をしていない者はわずか4%で、それ以外の者は、模倣コンテンツの公開者にデザインの修正を求めた、プラットフォームに模倣コンテンツの公開を止めること等の対応を求めた等、具体的な対応・対策をしていた。
・仮想空間におけるデザインに関して、約6割の者が、自由な制作よりも模倣からの保護を優先すべきと回答した。
現行意匠法上、操作画像や表示画像に該当しない画像は保護の対象とはなっていません。同委員会では、将来的な制度的措置の方向性として、操作画像や表示画像に該当しない画像であっても、物品等の形状等を表した画像であれば、画像の意匠として保護の対象とすべきではないかという点について種々の議論が行われ、次回以降の委員会でも、引き続き検討が進められるとのことです。
【制度的措置の方向性】

<特許庁資料より引用>
第17回意匠制度小委員会配布資料