JETRO(日本貿易振興機構)によれば、「模倣品」とは、主として商標権侵害品や意匠権侵害品などを意味し、特許権を侵害する製品についても、技術模倣品として模倣品の範疇に含まれるとしており、著作権侵害品を意味する「海賊版」とは区別されています。
<JETRO資料より引用>
模倣品・海賊版対策の基礎
https://www.jetro.go.jp/theme/ip/basic
ところで、世界的に有名なブランドのシャネル(CHANEL)が、同社のフレグランスやビューティ製品をオンラインで販売する正規販売パートナー向けに、新たな“eロゴ”を導入したというニュースがありました。当該ロゴは、黒の円形図形と白抜きで表された「CHANEL」と「AUTHORIZED RETAILER」の文字によって構成されており、消費者に対して、シャネルの化粧品が正規販売店によって販売されているかどうかを容易に識別できるようにするもので、品質基準を満たした本物の製品を購入できることを保証するものとしており、アメリカでは当該ロゴが商標登録されています(US Serial no. 98264776)。
なお、米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Products Council)は、化粧品の模倣品被害について、ブランドにとって大きな収益損失につながり、正規品とほぼ同じように見える安価な代替品を提供することで売上を減少させ、毎年約54億ドルを失っていると言及しています。
<Personal Care Products Council資料より引用>
Counterfeit Cosmetics(英文サイト)
Counterfeit Cosmetics – Personal Care Products Council
実際、化粧品は模倣されやすい商品カテゴリーの一つであり、同業界では、正規販売店用のロゴを導入し、かつ、小売等役務を指定した商標を登録する動きが少なからず見受けられます。我が国でも、例えば、エスティローダー(登録第5537653号)、クリニーク(登録第5541716号、登録第5596064号)、ボビーブラウン(登録第5596038号)、コーセー(登録第6793294号、登録第6793295号)などが、ブランド名に加えて正規販売店や正規品取扱店を表す文字を有するロゴを商標登録しています。
模倣品を放置しておくと、単に真正品の売り上げ低下をもたらすだけでなく、粗悪な模倣品が市場に混在することにより、真正品のブランドイメージが著しく低下し、企業の信用が失墜することにもなりかねないとして、JETRO(日本貿易振興機構)では注意喚起を行っています。
<JETRO資料より引用>
模倣品・海賊版対策はなぜ必要?