商標登録出願において指定する商品・役務は権利範囲を定めるものであり、その内容及び範囲が明確でないときや区分が相違するときなどには、商標法第6条に基づく拒絶理由が通知されます。
ところで、商品・役務名は社会経済の実情や推移に伴い、新たに採択可能となるものと、採択不可となるものとがあります。したがって、過去に登録になったからと言って、そのままの商品・役務名を用いて出願すると、場合によっては拒絶理由が通知され、補正をする必要に迫られます。
例えば、以下の役務名は、金融取引に関する新法の成立により、「仮想通貨」の呼称が「暗号資産」に変更となったことに伴い、採択不可となりました。※令和3年1月1日以降の出願から適用
第36類
×「仮想通貨交換業に係る仮想通貨の売買」
×「仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換」
×「仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換の媒介・取次ぎ・代理」
×「仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換又は仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換の媒介・取次ぎ・代理に関して利用者の金銭又は仮想通貨の管理」
代わりに、以下が採択可能な役務表示となっています。
第36類
〇「暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換」
〇「暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換の媒介・取次ぎ・代理」
〇「暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換に関して行う利用者の金銭の管理」
〇「暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換の媒介・取次ぎ・代理に関して行う利用者の金銭の管理」
〇「他人のために行う暗号資産の管理」
<特許庁資料より引用>
「暗号資産」「仮想通貨」に関連する役務を指定する商標登録出願の取扱いについて
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/cryptocurrency.html
上記以外に、新たに採択可能となった商品・役務名もあります。以下はその一例です。
第9類
〇飛沫防止用フェイスシールド(医療用のものを除く。)
第20類
〇業務用の手指先除菌剤を配置して使う足踏み式噴霧用スタンド
第21類
〇ウィルス対策用のボタンに直接手を触れずに押すための棒状補助具
第41類
〇インターネットを利用したライブ配信による旅行を疑似体験させる映像の提供
第42類
〇人工知能の機能を有する電子計算機用プログラムの提供
<特許庁資料より引用>
最新の商品・役務名情報
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/document/saishin_joho/saishin_hyo.pdf
時代の変化に応じ、より実態に即した権利を取得するためにも、特許庁による最新の商品・役務名情報をチェックすることが重要です。