商標の異議申立を扱う法的枠組み(申立が可能な時期や期間など)は、各国によってそれぞれ異なります。例えば、韓国の商標法では、登録前異議(権利付与前異議)の制度を採用しており、出願公告された商標に対する異議申立期間は公告日から「2ヶ月」とされています。ただし、2025年の半ばごろ、当該申立期間が「30日」に短縮されるとのことです。韓国の商標審査期間が長期化している現在の傾向を考慮し、期間を短縮させるものとされています。
<KIM & CHANG ニュースレターより引用>
2025年から変わる韓国商標・デザイン制度
https://www.ip.kimchang.com/jp/insights/detail.kc?sch_section=4&idx=31213
我が国でも、かつて(平成8年の法改正前)は、韓国と同じく登録前の商標異議申立制度が採用されていました。しかし、商品のライフサイクルの短縮化などにより迅速な権利付与の要請が強まっていたことや、審査期間が長期に及んでいる状況下において、異議申立により特許庁の判断が覆るものが僅かであるにもかかわらず、全ての出願が権利設定を一律に異議申立期間が経過するまで待たされる状況は妥当でないなどの理由から、登録前の異議申立制度を廃止し、登録後に第三者から異議申立を受付ける制度へと移行した経緯があります。
なお、特許庁が公表している統計資料によれば、商標の登録異議申立に対する最終処分は、取消決定よりも維持決定の方が圧倒的に多いことがわかります。
【商標登録異議申立の件数】

<特許庁資料より引用>
特許行政年次報告書2024年版
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2024/index.html
登録異議の申立が容認されなかった場合や、申立期間を徒過した場合には、別途、無効審判を請求することが可能です。ただし、異議申立制度では何人も申立てが可能ですが、無効審判では利害関係人に限り請求が可能となっています。また、特定の無効理由に関しては、商標権の設定登録の日から5年を経過した後は請求することができない点も注意が必要です。