意匠分野のスタートアップ向け早期審査

特許庁が、2025年3月5日に、第20回産業構造審議会知的財産分科会の配布資料を公開しました。それによれば、令和7年度から、意匠分野におけるスタートアップ向け早期審査の開始について検討を行うとのことです。これにより、通常、一次審査通知までの期間が平均6.0月かかっているところ、早期審査により2.0月程度まで短縮できる見込とのことです。

現在、意匠の早期審査の要件は、①権利化について緊急性を要する実施関連出願、②外国関連出願、③震災復興支援関連出願、④模倣品対策に対応(申請から1月以内にFA)となっており、ここに、「スタートアップによる出願」が追加されるとのことです。

なお、特許分野では、スタートアップ対応の早期審査が平成30年7月から開始されており、年間約500件の申請があるとのことです。特許の早期審査におけるスタートアップの要件は、(i)その事業を開始した日以後10年を経過していない個人事業主、(ii)常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者にあっては5人)以下で設立後10年を経過しておらず、かつ、他の大企業に支配されていない法人、(iii)資本金の額又は出資の総額が3億円以下で設立後10年を経過しておらず、かつ、他の大企業に支配されていない法人となっています。

特許庁によれば、「意匠権は新技術の社会実装直前で出願される傾向にあるため、模倣品発生までに一刻も早い審査が必要」とのことであり、素早い権利付与により、模倣品対策に加え、早期資金確保や競争優位なビジネス環境整備に繋げたいとのことです。

<特許庁資料より引用>

イノベーション創出のための特許庁の取組 産業構造審議会 第20回知的財産分科会

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/chizai_bunkakai/document/20-shiryou/s01.pdf