日韓におけるコンセント制度の利用状況

コンセント制度に関する改正商標法が2024年4月1日から施行され、同施行日以後にした出願について適用されることとなりましたが、現時点において適用事例は確認できていません(少なくとも、特許庁による公表はありません)。一方、韓国では、我が国の施行日から1か月遅れの同年5月1日からコンセント制度(商標共存同意制度)が施行されましたが、今年8月末までのわずか4カ月で、計447件もの利用があったことが韓国特許庁によって公表されました。

なお、我が国では、たとえ引用登録商標権者の承諾があっても、両商標の間で混同を生ずるおそれがあると判断された場合には、併存登録を認めない留保型コンセント制度が採用されています。一方、韓国では、共存登録の同意書が提出されれば、先行商標との混同の有無にかかわらず、商標登録が認められる完全型コンセント制度が採用されています(ただし、商標が同一で指定商品及び役務も同一の場合は適用されません)。

韓国特許庁の発表によれば、計447件に係る利用者間の内訳は、企業・企業間が321件(72%)、個人・企業間が70件(16%)、企業・個人間が36件(8%)、個人・個人間が20件(4%)であり、特に企業間で活発に利用されていることが明らかとなりました。また、同意書が提出された時期ごとの審査状況は、審査手続(意見書の提出など)で217件(49%)、出願公告で185件(41%)、登録査定で34件(8%)、審判(拒絶査定不服審判)で6件(1%)あり、様々な段階で活用されていることも明らかとなりました。

我が国における留保型コンセント制度の採用について、特許庁の説明によれば、商標法の目的(1条)の一つである「需要者の利益」を保護する観点から、これを十分担保できるよう、たとえ引用登録商標権者の承諾があっても、両商標の間で混同を生ずるおそれがあると判断される場合には併存登録を認めないとされています。他方、完全型コンセント制度を採用する韓国の利用状況をかんがみると、同制度は少なくとも出願人にとって利便性の高いものであり、かつ、商標権をめぐる争いを未然に防止する効果も期待できることから、韓国における同制度の需要は今後も高まるものと考えます。

<JETRO資料より引用>

知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)商標共存同意(コンセント)制度の利用実績

https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/ip/article/43ed8a7f76520a43.html