海外における著作権の保護

2025年1月下旬、人気キャラクター「ちいかわ」の関連商品を、正規ライセンスを取得せずに台湾国内の市中で販売したとして、著作権法違反の疑いで露天商が書類送検されたというニュースがありました。「ちいかわ」は日本人の作者(ナガノさん)が手掛ける漫画作品『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の主要キャラクターとして知られています。

ところで、著作権に国境はありません。日本の著作物に対する著作権は(自動的に)海外においてもその効力を発揮し、無断で使用すれば著作権法違反に該当します。海外の著作物を日本で無断使用した場合も同じです。

世界において著作権を保護する条約には、「ベルヌ条約」、「万国著作権条約」、「実演家等保護条約」、「レコード保護条約」などがあり、日本もこれらの条約に加盟しています。こうした国際条約の存在により、各国での著作権は同様に保護されることになります。逆に、各条約に加盟していない国においては、日本で保護されている著作権も効果を発揮せず、意味を持たない場合があります。

上記の条約のうち、「ベルヌ条約」(文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約)では、保護の原則として、「著作者は、この条約によって保護される著作物に関し、その著作物の本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。」と定められています。また、「万国著作権条約」でも、「いずれかの締約国の国民の発行された著作物及びいずれかの締約国において最初に発行された著作物は、他のいずれの締約国においても、当該他の締約国が自国において最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護及びこの条約が特に与える保護を受ける。」と定められています。

<公益社団法人著作権情報センター資料>

文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約(抄)

https://www.cric.or.jp/db/treaty/t1_index.html

万国著作権条約パリ改正条約

https://www.cric.or.jp/db/treaty/bap_index.html

因みに、上記条約には、いずれも最低保護期間の規定があり、「ベルヌ条約」では死後50年、「万国著作権条約」では死後25年としていますが、これはあくまで最低限の保護期間であり、国によって上記期間よりも長い期間を設定することが可能で、日本の現行法では死後70年保護する必要があります。ただし、国によっては著作権の保護期間が短くなってしまう場合があるので注意が必要です。

<文部科学省資料より引用>

ベルヌ条約加盟国 保護期間一覧

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07091009/001.pdf