著作権侵害と刑事罰

人気漫画をインターネットに無断公開したとして、著作権法違反等の罪で実刑判決が確定し、服役した海賊版サイト「漫画村」の元運営者による再審請求が棄却されたというニュースがありました。元運営者は当該決定を不服として、福岡高裁に近く即時抗告する方針とのことです。

ところで、著作権者の許諾なく無断でコピー・販売したり、インターネットで送信する行為は著作権侵害に該当します。著作権法には第119条以下に罰則規定が設けられており、個人に対する罰則については「最高10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金またはこれを併科」、「私的利用であっても違法サイトであることを知りながらダウンロードしデジタル録音・録画を行った場合は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科」とあります。上述の「漫画村」の元運営者には、「懲役3年、罰金1000万円、追徴金約6200万円」という判決が下されました(2021年6月2日)。著作権法違反に加え、組織犯罪処罰法という法律違反も犯していたことから、かなり重い刑罰が下されたと考えられます。

なお、著作権侵害は原則「親告罪」とされており、被害者が警察に加害者の処罰を求めない限り、警察による捜査や検察による加害者の起訴など、刑事手続が行われることはありません(法第123条第1項)。ただし、例外的に以下の要件を満たす場合には、「非親告罪」として、告訴を待たずに著作権侵害の捜査等が行われます(同第2項)。

(1)侵害者に侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的や、有償著作物等の販売等により著作権者の利益を害する目的があること

(2)有償著作物等を原作のまま譲渡・公衆送信すること、またはこれらのために複製すること

(3)有償著作物等の提供又は提示によって著作権者の見込まれる利益が不当に害されること

具体例としては、漫画や小説の海賊版を販売する行為や映画の海賊版をインターネットで配信する行為が該当することになります。なお、著作権法における非親告罪化規定は2018年(平成30年)12月30日から施行されています。