著名な登録商標の「宅急便」

ヤマト運輸の不在連絡票を模したポスティング用チラシを配布した会社が、ヤマト運輸からの配布中止の申し入れを受け、当該チラシの配布を即刻停止したというニュースがありました。この不在連絡票を模したチラシには「宅急便」の文字が印字されており、当該文字が、ヤマト運輸株式会社を傘下に有するヤマトホールディングス株式会社を商標権者とする登録商標であることも話題となりました。以下は、同社が有する「宅急便」の登録商標です(「宅急便」の文字からなる同社の登録商標は他にも複数あります)。

登録番号:第3023793号

区分:第39類 

指定役務:貨物車による輸送,貨物自動車による輸送

<特許情報プラットフォーム J-PlatPatより引用>

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-1992-274672/40/ja

日本の主要な配送業者によるサービス名には、上述の「宅急便」以外に、「ゆうパック」、「飛脚宅配便」、「カンガルー特急便」など複数ありますが、上掲の「宅急便」の商標は日本国周知・著名商標にも認定されており、かつ、防護標章としても登録されています(第3023793/01~07号)。

仮に、第三者が「宅急便」と同一又は類似の商標を、同一又は類似の役務を指定して出願した場合、ヤマトホールディングス株式会社が保有する登録商標を引例として拒絶されるのはもちろんのこと、たとえ非類似の商品・役務を指定した場合でも、著名商標である「宅急便」と出所混同のおそれがあるとして拒絶される可能性があります。なお、過去に拒絶された事例として、「宅救便」の文字からなる他社の出願商標があります(商願2023-062819)。