韓国におけるデザイン保護法の一部改正法律案

2024年12月、韓国においてデザイン保護法(日本の意匠法に相当)の一部を改正する法案が提出されました。その主たる内容は「デザイン権の移転請求」です。

現行法の下では、無権利者が特定のデザインについて出願し登録を受けた場合、正当な権利者は無効審判を請求した上で、裁判所による判決を受けてから当該デザイン権に対し再出願をしなければならないことになっており、煩雑な手続きに加え、時間的かつ費用的な負担があることから、正当な権利者がより効率的にデザイン権を行使できるよう制度を見直す必要があるとの指摘がされていました。

なお、特許については、特許権の移転請求制度により、無権利者によって盗用された特許権を取り戻す場合、無効審判を請求することなく正当な権利者に対し特許権を移転するようになっています(日本の特許法第74条の「特許権の移転の特例」に相当)。

今回の改正案では、デザイン権について正当な権利者が盗用されたデザイン権を迅速に取り戻すことができるようにすることに加え、正当な権利者に移転されたデザイン権に対して無効審判の請求を認めないこと、正当な権利者に移転されたデザイン権のデザイン登録証を正当な権利者の名義で再発行することなどが盛り込まれています。

さらに、権利移転の登録の前に無権利者によるデザイン登録という無効理由に該当していることを知らずに実施もしくは準備をしている場合には、通常実施権を認めることで、善意の無権利者を保護することとしています。

<JETRO資料より引用>

【法案提出】デザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2206368)

https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/ip/law_amendments/2024/241210.html