2024年12月、英国政府はAIと著作権に関する法的枠組みについて、著作権者であるクリエーティブ産業とAI開発者をいかにして一体的にサポートすることができるかにつき、意見公募を行うと発表しました。この意見公募は2024年12月17日に開始され、10週間行われるとのことです。
英国における現行の著作権法がAIに対してどのように適用されるかが不確実であり、そのため、著作権者にとっては自身の作品の利用をコントロールしたり、対価を求めたりすることが困難な状況にあり、他方のAI開発者にとっても法的なリスクがあることから、AIへの投資や技術革新等を阻害しているとされています。
今回の英国政府による意見公募では、例えば、以下のような案が提示されています。
・商業目的のAIトレーニングに著作権法の例外を導入する
・著作権者がその権利を留保できるようにすることで、コンテンツの利用をコントロールできるようにする
さらに、ディープフェイクのようなデジタルレプリカにおける人格権の保護に関して、現行の法的枠組みが、この問題に取り組むのに十分強固であるかについての意見も求めるとされています。
<JETRO資料より引用>
英国政府、クリエーティブ産業とAI開発者の一体的サポートの確保へ意見公募
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/12/9b7d4652f96fd253.html
ひるがえって、我が国においては、2024年3月に文化審議会著作権分科会法制度小委員会が「AI と著作権に関する考え方について」というタイトルの文書を公開しています。生成 AI と著作権の関係を直接的に取り扱った判例・裁判例が未だ乏しいなか、著作権者側とAI開発者側の双方から様々な懸念の声が上がっていることを踏まえ、生成 AI と著作権に関する考え方を整理し、周知すべく取りまとめられたもので、法的拘束力を有するものではありません。
<文化庁資料より引用>
AI と著作権に関する考え方について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
概要
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94057901_01.pdf
著作権法の解釈は、生成 AI に関するものに限らず、本来、個別具体的な事案に応じた司法判断によるべきものですが、未だ個別事案の集積が十分でない現況において、関係当事者が生成 AI との関係における著作物等の利用に関する法的リスクを自ら把握し、かつ、生成 AI との関係で著作権等の権利の実現を自ら図るうえで参照されるべきものとなっています。