防衛的な商標登録出願

米ファストフード大手のマクドナルドが、昨年末にロシアで複数の商標の登録を申請し、今年4月からロシア特許庁で審査が始まったというニュースが報じられました。

ロシアのウクライナ侵攻後にロシア市場から撤退していた同社が復帰を模索している可能性があるとの報道もありましたが、同社はこれを否定し、あくまでブランドを守り、第三者が商標を使用するのを防ぐため、事業展開していない国も含めて世界中で商標を定期的に更新(出願)していると説明しています。

ところで、我が国では登録主義を採用しており、実際の使用状況に関わらず、要件を具備することにより登録となりますが、不使用取消審判制度により、一定期間、日本国内において商標権者や使用権者が登録商標を指定商品や指定役務に対して使用していないと、取消になるリスクがあります。

自社ブランドを守るという防衛的な目的で出願し登録になった商標でも、未使用の状態が継続しているものについては、不使用取消審判を請求される前(登録後3年以内)に、再度出願し直すというのも手段の一つです。仮に、周知・著名なブランドであれば、不正競争防止法で争う道もあります。