フィリピン知的財産庁は、2025年4月28日より、「周知商標の登録制度(Register of Well-Known Marks)」を開始しました。(規則 Memorandum Circular No. 2025-009)
これまでフィリピンでは、商標の周知性が認められるためには、商標異議申立や侵害訴訟などの争訟手続で個別に認定される方法しかありませんでした。
新制度の導入により、争訟手続を経ることなく、商標を「周知商標」として公式に認定してもらうことが可能になりました。周知商標の宣言がなされた場合、登録簿に周知商標である旨が記載されるため、競合他社による商標権侵害や類似商標登録に対する強力な抑止力になります。また、当該商標の周知性が推定される(prima facie evidence)ことになりますので、商標関連の争訟で有利となります。
今後、周知商標としての登録は、フィリピン市場におけるブランド保護強化の有効な手段となるでしょう。
【周知性の判断基準】
商標が周知であるか否かを判断する際は、公衆全体よりむしろ関係業界における認知度及び広告宣伝を通じて得られた認知度を重視するとされています。合計12の判断基準が設けられており、その中でも、特に以下の4つ基準をクリアすることが必須とされています。
(1)商標の使用期間、規模および地理的範囲、特に広告、宣伝、展示会でのプロモーション等
(2)フィリピン国内および他国における商品・サービスのマーケットシェア
※フィリピン国内だけでなく国外における周知性やマーケットシェアも評価対象になっています。
(3)商標固有の識別力又は使用により獲得された識別力の程度
(4)商標が獲得した品質、イメージまたは評判
【申請~登録までの流れ】
(1)申請
対象商標、指定商品・役務、申請人情報および当該商標が「周知」であることを示す証拠資料を提出します。申請料金の支払いも必要です。
(2)審査
(3)決定(周知商標として宣言又は拒絶)
(4)公表(周知商標として宣言された旨が電子公報に掲載されます。)
(5)第三者の意見(公表後1ヶ月間)
(6)登録(周知商標宣言証明書が発行され、周知商標登録簿に記載されます。)
【有効期間】
周知商標の宣言は10年間有効で、10年ごとに更新することができます。また、宣言登録の5年目から1年以内及び更新のたびに、商標の継続的な使用を証明する資料を提出することが義務付けられています。当該手続を怠った場合、周知商標の宣言は無効となります。
フィリピンにおいて「周知商標としての宣言」を受けることをご希望される場合は、弊所にて申請のサポートをさせていただきますのでご連絡ください。