立体商標と商標権侵害

フランスの高級ブランドであるエルメスの「バーキン」に似せたバッグを、京都市内の店舗内に販売目的で所持していたとして、同市の会社役員が逮捕されたというニュースがありました。商標権者であるエルメス・アンテルナショナルが、「バーキン」の立体的形状を表した登録商標を有していることから、商標権侵害の疑いがあるとして逮捕・送検されたとのことです。

なお、商標法上、商標の使用態様の一つである「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(2条3項1号)には、商品の形状自体を標章の形状とする場合が含まれています(2条4項)。

<J-Plat Pat 商標出願・登録情報より引用> 登録商標第5438059号  

ところで、ハンドバッグの形状を表した立体商標を、第18類の「ハンドバッグ」を指定して出願した場合、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとして拒絶されるのが通常です(3条1項3号)。上記の登録商標も、審査の過程で識別力の欠如により拒絶されていますが、拒絶査定不服審判において、使用により自他商品識別力を獲得するに至ったものに該当するとして、3条2項の適用が認められ、登録に至っています。

上記の登録例は、商品である「ハンドバッグ」の形状そのもの(他の文字や図形を伴わないもの)が、当該商品の出所識別標識としての機能を有するものとして認められた事例であり、極めて有効かつ強力な権利であると言えます。