流行語と識別力

年末恒例の流行語大賞に、今年トレンドとなった言葉が30語ノミネートされたというニュースがありました。「トランプ関税」、「古古古米」、「物価高」、「国宝(観た)」、「ミャクミャク」など、社会経済や世相を反映する語が選出されています。

ところで、そもそもこうした流行語の多くは広く一般に使用される語であることから、商標的な観点からすると、識別力の有無が問題となります。例えば、2018年に韓国の平昌で開催された冬季オリンピックの一競技であるカーリング女子で、メダルを獲得した選手たちが使用し、マスコミに取り上げられて話題となった「もぐもぐタイム」や「そだねー」の語は、この年の流行語大賞にノミネートされていますが、これらの語を商標として出願したケースでは、基本的に、識別力の欠如に基づく拒絶理由(商標法3条1項3号又は6号)が通知されています。

流行語を商標登録出願した場合の拒絶理由としては、他にも、公序良俗違反に該当する場合(法4条1項7号)や他人の氏名等を含んでいる場合(法4条1項8号)、すでに出願・登録されている他人の商標と同一又は類似する場合(法4条1項11号)や出所混同のおそれがある場合(法4条1項15号)などの拒絶理由が想定されます。

なお、今年の流行語大賞は、12月1日に発表されるとのことです。