令和5年4月1日以降に期間途過をした手続きについては、期間徒過後の救済規定に係る回復要件が、「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されるとともに、回復手数料の納付が必要となりました。現行の運用では、特許・実用新案・意匠・商標の四法全体で、計18種の手続きが当該救済規定の対象となっています。
なお、特許庁では、出願人等から救済の対象となる手続書面と回復理由書が期間徒過後の所定の期間内に提出されているか、回復手数料が納付されているか、さらに、「故意でない基準」を満たすか否かを検討し、回復の判断を行いますが、期間を徒過した理由が「故意に手続をしなかった」ものとして、救済が認められない可能性があるケースを以下の通り挙げています。
・期間徒過後の社内の方針転換
・現地代理人の支払い遅延
・権利放棄決定後の他社からの照会
・金銭的事情による経営判断
・廃業後の後継者の就任による事業再開
・共有者との調整不足による手続徒過
・納付書の不備にかかる指令に対応せず手続却下された場合
上記ケースに関する詳細は、以下のサイトをご参照下さい。
<特許庁HPより>「故意によるものでないこと」による期間徒過後の救済について
ところで、当該救済規定の対象手続きには出願審査請求も含まれており、令和5年4月1日以降に手続期間を徒過した案件は、出願審査の請求ができる期間を徒過したことについて「故意によるものでないこと」であるときには、その理由がなくなってから2月以内で請求期間経過後一年以内であれば、出願審査の請求をすることができます。
なお、当ブログでも以前述べた通り(2025.05.12 特許権等の回復申請状況)、出願審査の請求ができる期間を徒過した出願における救済認否は、第三者への影響が大きいとして、特許庁では出願審査の請求期間を徒過後に回復理由書及び出願審査請求書が提出された出願を定期的に公表しています。直近の回復状況を含め、詳細は以下のサイトの「出願審査の請求の回復申請状況表」から確認することができます。
<特許庁HPより>出願審査の請求の回復申請状況表