アメリカ合衆国のディズニーエンタープライゼズインク(Disney Enterprises, Inc.)社の登録商標に類似する文字を表示したタグを縫い付けたぬいぐるみをインターネット通販サイトで販売し、同社の商標権を侵害した疑いで、山梨県内の裁縫業者が逮捕されたというニュースがありました(YBS NEWS NNN 2026年1月14日)。ぬいぐるみは同社のキャラクターである「DUFFY(ダッフィー)」と「SHELLIEMAY(シェリーメイ)」で、警察が公開した押収品の写真によれば、当該文字や「Disney」の文字が刺繍されたタグが縫い付けられているのが確認できます。
ところで、商標法では、商標(法上の表現は標章)の使用について、同法2条3項各号で、以下の通り定義付けをしています。
・商品又は商品の包装に標章を付する行為(同項1号)
・商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(同項2号)
さらに、広告的使用についても、以下の通り定義しています。
・商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項8号)
ここで、1号にある「標章を付する」とは、商品と商標の一体性を生み出す行為であり、商品の性質に応じて、貼付、刻印、荷札など様々な態様があり得ます。上記事例のように、商品がぬいぐるみの場合には、その胴体の一部にタグを縫い付け、当タグに商標を表示するのが典型的な使用例と言えます。なお、商品自体に付す場合だけでなく、商品の包装に付すことも商品商標の使用に含まれます。
一方、ダウンロード可能なプログラムも商標法上の商品であるところ、このような電子情報財に関しては、商標の電磁的な情報をユーザーが視認できるよう、当該プログラムの起動時や作業時のインターフェースに商標の電磁的情報を組み込む行為が該当するとされています。
他方、商標のタイプによっても、様々な使用態様があり得ます。例えば、平成8年の法改正で立体商標制度が導入されたことに伴い、商品自体を標章の形にする場合も商標の使用類型に追加されました(同条4項1号)。さらに、平成26年の法改正により音商標が保護対象に加わったことにより、商品や商品に関する広告に記録媒体が取り付けられている場合に、当該記録媒体に商標を記録することも商標の使用に含まれることになりました(同条4項2号)。