「博覧会」に関する商標法上の規定

昨年、大阪・関西万博が終了し、次回の万博は2030年10月1日から31年3月31日までの期間、サウジアラビアのリヤドで開催されることになっています。なお、万博には5年おきに行われる大規模な「登録博」と、その中間に行われる小規模な「認定博」とがあり、大阪・関西万博とリヤド万博が「登録博」に相当します。ちなみに、2027年にセルビアのベオグラードで開催予定の万博は「認定博」に分類されるとのことです。

ところで、我が国の商標法には、「博覧会」に関連する条文として、後掲の不登録事由(4条1項9号)と出願時の特例(9条1項)の2つの規定が存在します。ここで、両規定における「博覧会」には、博覧会の名称を冠するものに限らず、例えば、見本市、品評会、コレクション、トレードショー、フェア、メッセ等の他の名称を冠したものも含まれるとされています。

前者の不登録事由(4条1項9号)は、所定の要件を満たす「博覧会」における「賞」と同一又は類似の標章を有する商標は登録を受けることができない旨を規定したものであり、その趣旨は、「賞」の権威の維持とともに商品の品質又は役務の質の誤認を防止することにあります。※ただし、その「賞」を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をする場合を除きます。

<特許庁HPより> 「商標審査基準」八、第4条第1項第9号

他方、後者の出願時の特例(9条1項)とは、所定の要件を満たす「博覧会」に出品又は出展した者が、その出品した商品又は出展した役務に使用した商標を、他人によって先に商標登録出願されてしまう場合があることを想定し、正当な商標登録出願者であるべき出品者又は出展者を保護しようとするもので、所定の要件を満たす「博覧会」に出品した商品又は出展した役務について使用した商標を、その出品日又は出展日から6月以内に商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品又は出展の時にしたものとみなされるとされています。

<特許庁HPより> 「商標審査基準」第9 第9条

なお、上記の遡及効を得るための手続きとして、出願人は博覧会に出品又は出展した日及び出品した商品又は出展した役務等についての博覧会への出品又は出展の事実や、「特許庁長官の定める基準」に適合するものであることなどを証明する必要があります。

<特許庁HPより> 「商標審査便覧」16.01 出願時の特例の主張に係る取扱い

以下は、商標法における不登録事由(4条1項9号)と出願時の特例(9条1項)の条文です。

4条1項9号 政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であって特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)

9条1項 政府等が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であって特許庁長官の定める基準に適合するものに、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であって特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品又は出展した役務について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者又は役務を出展した者がその出品又は出展の日から六月以内にその商品又は役務を指定商品又は指定役務として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品又は出展の時にしたものとみなす。

上記の不登録事由(4条1項9号)と出願時の特例(9条1項)の規定にある「特許庁長官の定める基準」については、以下の「商標審査便覧」で確認することができます。

<特許庁HPより> 「商標審査便覧」16.04  特許庁長官の定める博覧会の基準についての説明