文化庁の発表によれば、著作権法の一部を改正する法律(令和5年法律第33号)により創設された「未管理著作物裁定制度」が2026年春からスタートするとのことです。
誰からも管理・利用されないままの著作物が増えるなか、利用を希望しながらも、問い合わせ先がわからない、利用のルールが不明などといった問題が生じていました。「未管理著作物裁定制度」は、そのような利用希望者が、著作権者の意思を確認できなかった場合などに、文化庁長官が判断し(裁定し)、利用希望者が補償金を預けることで適法に利用ができるようにする制度です。
「未管理著作物裁定制度」の対象となるものは、「利用ルールや利用の問合せ先の記載がなく、連絡先も明示されていないもの」、「利用ルールや利用についての問合せ先の記載がないが連絡先があり、利用について問い合わせて14日間応答がなかったもの」です。
逆に、対象とならないものは、「『無断転載禁止』、『非営利なら許諾不要で自由に利用OK』など、利用ルールが明記されているもの」、「『利用希望の方は~へ』などと利用についての問合せ先が明記されているもの」、「連絡先があり、利用について連絡したところ応答があったもの」、「管理団体による集中管理(※)がされているもの」とされています。
※集中管理とは、著作権等の管理を行う事業者(著作権等管理事業者として文化庁に登録している者)が、著作権者等からの委託を受け、著作物等の利用許諾や、徴収した利用料の著作権者等への分配を行うことを意味します。
当制度は、著作権者がその利用ニーズがあることに気づいていなかった著作物についての利用を促し、著作権者がその利用の対価を得ることを促す仕組みになっており、著作権者にとってもメリットのある制度になっています。
<文化庁資料より引用>
未管理著作物裁定制度