連日報道されている冬季オリンピックに関する話題の中で、フィギュアスケートで使用を予定していた楽曲について、権利者から使用許諾を得ることができず、演目の変更を余儀なくされるケースが発生しているとのニュースがありました。
楽曲や歌詞などの音楽の著作物については、その創作者(著作者)である作曲家や作詞家に著作権が発生します。また、その著作物の伝達を担う実演家としての歌手や演奏家、レコード製作者としての音楽レーベルやレコード会社、放送事業者や有線放送事業者には著作隣接権が発生します。さらに、人格的利益の保護規定として、著作者には著作者人格権があり、実演家にも実演家人格権が認められています。
例えば、ある楽曲のメロディーや歌詞を複製する場合(私的使用などの制限規定に該当する場合を除く)、公衆に向けて演奏や歌唱をする場合、編曲や歌詞の変更をする場合などには、事前に作曲家や作詞家の許諾を得る必要があります。また、作曲家や作詞家の意に反する変更や切除などの改変は、著作者人格権の侵害にも該当しうるため注意が必要です。
上述のフィギュアスケートの選手からすれば、使用許諾を得られずプログラムを変更することは極めて酷な状況であるものの、著作権者の立場からすれば、当然の権利ということになります。
ところで、我が国において2000年に成立した著作権等管理事業法(2001年から施行)は、著作権および著作隣接権の管理事業者の登録制度や業務規定を定めた法律であり、文化庁長官の登録を受けた管理事業者が著作権者等からの委託を受け、著作権等の管理(使用の許諾や使用料の徴収など)を行うことで、著作権者等の権利を保護するとともに、著作物等の利用を円滑にし、文化の発展に寄与することを目的としたものです。なお、音楽の著作物に関する管理事業者の代表例としては、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が挙げられます。
<文化庁HPより>著作権等管理事業者登録状況一覧(令和8年1月23日現在)(全28事業者)
ここで、著作権の管理には「信託」による方法と「委任」による方法の2種類があり、前者は著作権を管理事業者に移転して管理を行う方法で、後者は著作権を移転せずに使用の許諾や使用料の徴収を代行させる方法です。上述のJASRACに関しては「信託」による著作権管理を行っており、著作権信託契約に基づき、委託者が受託者であるJASRACに著作権を移転します。そして、信託財産となった著作権の管理によって生じた利益(分配使用料)は、著作権と同様に信託財産として保護され、委託者は受益者となって分配使用料を受け取ります。
なお、信託期間中はJASRACが楽曲の持ち主となり、違法利用に対しては、JASRACが当事者として信託著作権の侵害の防止や解消(民事及び刑事の法的措置を講ずることを含む)を行うとされています。
<JASRACのHPより> 管理委託契約約款 よくあるご質問(権利者の皆さま)