特許庁では、2025年4月3日に第18回意匠制度小委員会が開催され、昨年度からに引き続き、「仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方」について議論が交わされました。
仮想空間における意匠の保護について、我が国では、現行意匠法上、操作画像・表示画像に限定されていますが、特許庁が公開した資料によれば、日米欧中韓のうち、中国では意匠法による保護に向けた動きは確認されていないものの、欧州、米国、韓国では、意匠法による保護の明確化・強化に向けた動きがあるとのことです。
ここで、現実空間における意匠権の効力が仮想空間の意匠に及び得るかについては、日本と韓国では及び得ないと考えられ、米国では定まった解釈がなく、欧州では及び得る可能性があるとされています。逆に、仮想空間における意匠の意匠権の効力が現実空間の意匠に及び得るかについては、日本と韓国では及び得ないと考えられ、米国では及び得ない可能性があり、欧州では及び得る可能性があるとのことです。
なお、そもそも仮想空間における意匠について、意匠権を取得できるか否かについては、韓国では操作画像・表示画像に該当すれば意匠権を取得できる(法改正により操作画像・表示画像の限定がなくなる可能性がある)とされ、かつ、物品(表示画面等)に表示された状態であれば物品の意匠権を取得できるとされています。また、米国でも物品(表示画面等)に表示された状態であれば意匠特許を取得できるとされ、さらに、欧州においては製品に該当すれば意匠権を取得できるとされています(規則改正により、無体物も保護対象であることが明確化されました)。
我が国では、操作画像や表示画像に該当しない画像であっても、物品等の形状等を表した画像であれば、画像の意匠として保護の対象とすべきではないかという点について継続的な議論が交わされていますが、同時に、懸念事項としてクリアランス調査(他人の類似する登録意匠の有無に関する調査)への負担、クリエイターの創作活動や仮想空間市場への萎縮効果といった点が指摘されており、意匠制度の見直しにあたっては、こうした課題への対応策についても検討が必要とされています。
<特許庁資料より引用>
第18回意匠制度小委員会配布資料