人名を含んだ商標出願

米フロリダ州の下院で、今年2月18日に、パームビーチ国際空港を「ドナルド・J・トランプ国際空港」に改称する法案が81対30で通過したとのニュースがありました(CNN 2026.02.19)。また、これに先立ち、同月13日には、「DONALD J. TRUMP INTERNATIONAL AIRPORT」の文字がUSPTOに商標登録出願され、話題となっています。

ところで、世界各国には個人名を冠したいわゆる人名空港が存在しており、アメリカのジョン・F・ケネディ国際空港やフランスのシャルル・ド・ゴール空港はよく知られていますが、その他にも、アメリカのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル・ヒューストン空港、モンゴルのチンギスハーン国際空港、インドネシアのスルタン・ムハンマド・バダルディン2世国際空港、メキシコのドン・ミゲル・イダルゴ・イ・コスティージャ国際空港、ドミニカ国のダグラス=チャールズ空港などなど、調べだすとキリがないほど多くの人名空港があることにあらためて驚かされます。

ここで、日本国内の空港名に着目しますと、高知空港の愛称である「高知龍馬空港」の存在が知られており、人名を含んだ我が国唯一の空港とのことです。ちなみに、この「高知龍馬空港」の文字からなる商標を第33類の日本酒等を指定して出願したケースが過去にあり、拒絶査定が確定しています。この出願商標については、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるとして、4条1項15号に基づく拒絶理由のみが通知された模様です。

他方、空港の名称に限った話ではありませんが、坂本龍馬の名前のように、著名な歴史上の人物名を含む商標を一個人や一法人が出願しても、我が国の商標法及び審査基準上、原則として、公序良俗違反に該当すると判断され、拒絶されることになります。すなわち、著名な歴史上の人物名からなる商標を独占排他的に使用することは、その顧客吸引力に便乗する行為であるとして、公正な競業秩序を害するものであるとともに、公の秩序及び一般的道徳観念に反するため、登録を認めることはできないとされています。

<特許庁資料より> 「商標審査便覧」42.107.04 歴史上の人物名(周知・著名な故人の人物名)からなる商標登録出願の取扱いについて

一方、現存する人物名を含んだ商標を出願した場合については、令和5年の法改正(令和6年4月1日施行)により登録要件が緩和され、以下のような審査の流れをたどることになっています。

<特許庁HPより> 他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されます