商標法4条1項18号では、商品もしくは商品の包装または役務が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標は、商標登録を受けることができない旨を定めています。同号は平成8年の法改正において立体商標制度を導入したことに伴い、政策的見地から新設された不登録事由です。平成8年の法改正当時は、商品又は商品の包装の機能確保に不可欠な商品等の立体的形状のみからなる商標は登録を受けることができない旨が規定されていましたが、平成26年の法改正を機に新しいタイプの商標(色彩のみからなる商標や音商標など)が導入されたことから、商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標と改められた経緯があります。
ところで、商品の形状や商品の包装の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない立体商標は、自他商品の識別力を有しないものとして3条1項3号により拒絶されることになりますが、こうした商標であっても、使用により識別力を獲得するに至った場合には、3条2項の規定の適用により登録を受けることが可能となります。しかしながら、このようなケースについて商標登録を認めてしまうと、更新を繰り返すことによって生産・販売の独占を半永久的に認めることとなり、自由競争を不当に阻害するおそれがあるとして、たとえ3条2項に該当したとしても、商品または商品の包装の機能を確保するために不可避的な立体的形状のみからなる商標については、商標登録を受けることができない旨を定めています。例えば、丸くせざるを得ない自動車用のタイヤの立体的形状のみからなる商標などがその一例として挙げられます。
なお、商品または商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状か否かの判断においては、以下の点が考慮されることになっています。
1.その機能を確保できる代替的な形状がほかに存在するか否か。すなわち代替的な形状がほかに存在するときは、その形状が不可欠なものとはいえないことから、本号に該当するものとはいえないが、代替的な形状が存在しないときは、その立体的形状は不可欠な形状であるとの有力な判断材料となることから、本号が適用され得ることとなる。
2.商品又は商品の包装の形状を当該代替的な立体的形状とした場合でも、同程度(若しくはそれ以下)の費用で生産できるものであるか否か。すなわち代替的な形状を採用した場合には、著しく高い費用が必要となるならば、同業他者が商取引上の競争において極めて不利な状況におかれ、結 果的に商品等の市場における独占を許すおそれがあることから、本号が適用され得ることとなる。
<特許庁資料より引用> 『商標審査便覧』42.118.01 商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状(商標法第4条第1項第18号)に関する取扱い
仮に、上記のような立体商標が誤って登録された場合には、除斥期間の制限なく無効審判を請求することができますが(同法47条1項)、あえて無効審判を請求するまでもなく、同法26条1項5号の規定によって、そもそも商標権の効力が及ばないこととされています。