フリーマーケットアプリ大手のメルカリが、偽ブランド品の取引防止および不正利用者の排除のため、対策を強化するとのニュースがありました。AI(人工知能)による取引の監視を強化し、模倣品を見分ける「鑑定センター」を9月に新設するとのことで、これまで購入者が希望した場合にだけ有料での鑑定を行ってきたところ、今後は対象商品の鑑定を義務化するとのことです。
ところで、ブランド品の偽物を販売する行為は商標法違反の罪に問われる可能性がありますが、メルカリなどを通じて売買が成立した場合だけでなく、サイト上に出品した段階で、商標権侵害の予備行為に該当し、商標法違反の罪に問われる可能性があります。より具体的には、以下の条文にある通り、譲渡(販売)のために所持する行為に該当する可能性があります。
商標法37条2号:指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であって、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
商標法違反の罰則は、抑止効果を目的に、過去複数回の法改正により罰金額や懲役刑の上限が引き上げられるとともに、間接侵害についての罰則も新設されるなど、厳罰が強化されてきました。商標権侵害の罪は非親告罪であり、現行法では、直接侵害の場合、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が科せられます。また、間接侵害に当たる場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその両方が科されることになっています。いずれにしても重い罰則であることに変わりはありません。