拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用

期間延長請求は、実務上重要な手続きの一つです。拒絶理由通知の応答期間に関して、指定された手続期間を途過した場合の救済規定が導入されたのは2016年4月であり、それ以降は、拒絶理由通知の当初応答期間の経過後であっても、当該応答期間の末日の翌日から2か月以内に請求をすれば、出願人が国内居住者である場合及び在外者である場合のいずれも、1通の請求で当初応答期間の2か月延長が認められるようになりました。請求のための合理的な理由も不要とされています(ただし、所定の手数料を支払う必要があります)。

当該規定が導入された背景には、各国によって異なる国内出願手続等の統一化及び簡素化を目的とした条約である特許法条約(PLT)及び商標法に関するシンガポール条約(STLT)に我が国が加入することに伴い、同条約には規定されているものの、我が国の従来法では担保されていなかった手続期間を経過した場合の救済規定を適切に実施するため、必要な諸手続を整備する必要が生じたことにあります。

特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関して、手続期間経過後の救済規定が導入されてからまもなく10年近くになりますが、2021年4月には、意匠登録出願における拒絶理由通知の応答期間に関しても、特許や商標と同様の運用が導入されています。

なお、商標登録出願における応答期間経過後の期間延長については、2022年4月に一部運用の変更がありました。すなわち、これまで拒絶理由通知等の応答期間内又は応答期間内に延長請求した場合の延長された応答期間内に意見書が提出されたときであっても、応答期間経過後の延長請求が認められていましたが、審査官が速やかに最終処分に移行することが可能となるよう、これらの応答期間内に意見書が提出されているものについては、応答期間経過後の延長請求が認められないこととなりました。※国際商標登録出願における暫定的拒絶通報の応答期間経過後の期間延長の運用についても同様となっています。

以上の運用に関する詳細情報は、以下のサイトからご確認いただけます。

<特許庁HPより>

特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更について

意匠登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用について