アインシュタイン論文などの著作物の保護期間が2025年末に満了したというニュースがありました。EUでは著作権の存続期間について「著作者の死後70年間」と定められており、1955年に死去した人物の作品が、2026年1月1日に保護期間満了の対象となったものです。
<日本貿易振興機構(JETRO) HPより)「ビジネス短信」アインシュタイン論文など2025年末に著作権切れ、EUIPOが制度概要を紹介
日本の著作権法でも、著作権の保護期間については、原則、著作者の死後70年を経過するまでの間存続すると規定されています(著作権法51条)。これは、平成28年の法改正(TPP整備法)に伴い、従来の50年から現行の70年に延長されたことによるものです。なお、保護期間(終期)の計算方法は、死亡した年の「翌年の1月1日」から起算することとされています(著作権法57条)。
<文化庁HPより> 著作物等の保護期間の延長に関するQ&A
ところで、日本の著作権法では、著作者が有する人格権として、公表権(同法18条)、氏名表示権(同法19条)、同一性保持権(同法20条)が規定されているところ、これらは著作者の一身に専属するものと定められています(同法59条)。すなわち、複製権など、いわゆる著作財産権が譲渡や相続の対象になるのとは異なり(※)、著作者が死亡した場合、上記の人格権が相続されることはありません。
※ただし、著作財産権についても、相続人不存在の場合には消滅してパブリックドメインとなります(62条)。
上述の通り、著作者人格権については一身専属性が規定されているものの、死後においても、一定の保護を受け得るものとされています。すなわち、著作権法には、たとえ著作者の死後であっても、著作物を公衆に提供または提示する場合、その著作物の著者が存しているとしたならば、その著作者人格権の侵害となるべき行為をすることができない旨が定められており(同法60条)、著作者の遺族(※)は、著作者の死後の人格的利益の侵害に対して、民事的な救済措置としての差止請求権や名誉回復等の措置を請求することが認められています(同法116条)。さらに、刑事罰として、著作者の死後の人格的利益を故意に侵害した場合は、500万円以下の罰金に処せられる旨も規定されています(同法120条)。著作者の死後であっても、その著作物を公衆に提供または提示する場合においては、その態様について十分留意する必要があります。
※遺族とは、死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹を言います。