米国最高裁判所が、人工知能によって生成された芸術作品が米国法の下で著作権保護されるかどうかの問題を審理することを拒否したとのニュースがありました(Reuters 2026.3.3)。AIによって生成された視覚芸術作品は、人間の創作者を持たないために著作権保護の対象外であるという米国著作権局の判断を下級審が支持したのち、原告が最高裁に上訴していたところ、その訴えが却下されたとのことです。
AIが生成した画像等の著作物性と著作権保護に関する考え方は国によって異なり、例えば、中国では、2023年にAIが生成した画像の著作権侵害訴訟において、AIが生成した画像について著作物性と著作権侵害を認める判決が下され、話題となりました。
ところで、我が国におけるAI生成物の著作物性に関する考え方は、文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AI と著作権に関する考え方について」の中にまとめられています。すなわち、AIが自律的に生成したものは「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、 著作物に該当しないとされています。ここで、AIが自律的に生成したものとは、人が何ら指示を与えず(又は簡単な指示を与えるにとどまり)、「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したもの等を指します。これに対して、人が思想又は感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられています。また、人がAIを「道具」として使用したといえるか否かは、人の「創作意図」があるか、及び、人が「創作的寄与」と認められる行為を行ったかによって判断されるとされています。
なお、文化庁によれば、上記の「考え方」は、あくまで公表の時点における、AIと著作権に関する審議会としての考え方をまとめたものであり、今後も、「AIと著作権に関する具体的な判例・裁判例の蓄積」、「AIと関連技術の発展」、「諸外国の検討状況の進展」などについて、引き続き情報の把握・収集に努め、「考え方」の見直し等の必要な検討を行っていくとのことです。
<文化庁HPより> 文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AI と著作権に関する考え方について」【概要】令和6年4月 文化庁著作権課