裁定制度と特許法施行規則の一部を改正する省令

特許庁によれば、裁定に係る審議の効率化等を図るため、今般、特許法施行規則の一部改正を行うとのことです。

裁定制度とは、一定の要件が満たされた場合に、特許庁長官又は経済産業大臣の裁定によって、他人の特許発明等を、その特許権者等の同意を得ることなく、あるいは意に反して、第三者が実施する権利(強制実施権)を設定することができる制度です。我が国では、以下の3つの場合における裁定が規定されています。

①不実施の場合の通常実施権の設定の裁定(特許法第83条、実用新案法第21条)

②利用関係の場合の通常実施権の設定の裁定(特許法第92条、実用新案法第22条、意匠法第33条)

③公共の利益のための通常実施権の設定の裁定(特許法第93条、実用新案法第23条)

上記のうち、②の利用関係の場合における通常実施権の設定の裁定に関しては、意匠も対象となっています。

なお、裁定を請求する者は、特許法施行規則の様式により作成した裁定請求書を提出しなければならないところ、当該様式には裁定請求に至るまでの協議の経過を記載する欄が設けられています。具体的な争点や判断材料の明確化及び裁定の審議の効率化の観点から、今般の改正により、協議の経過に係る具体的な記載事項として、裁判外紛争解決手続(ADR)の経過及び結果などを記載するよう求めるとのことです。

<特許庁資料より引用>

特許法施行規則の一部を改正する省令(令和7年5月30日経済産業省令第48号)

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/syoreikaisei/tokkyo/tokkyohou_20250530.html