商標審査基準と商標審査便覧の改訂

今般、「商標審査基準」と「商標審査便覧」の改訂が行われ、その内容が公表されました。改訂の主なポイントは、コンセント制度(令和6年4月1日から施行)における「混同を生ずるおそれがない」と判断できるケースの明確化です。

<特許庁HPより> 商標審査基準〔改訂第17版〕について 商標審査便覧の改訂のお知らせ

商標法では、他人の先行登録商標又はこれに類似する商標であって、当該商標に係る指定商品もしくは指定役務又はこれらに類似するものについて商標登録出願をした場合には、商標登録を受けることができない旨が規定されています(商標法第4条第1項第11号)。コンセント制度は、当規定の例外規定にあたるものであり(同法第4条第4項)、たとえ第4条第1項第11号に該当する商標であっても、先行登録商標権者の承諾を得ており、かつ、先行登録商標と出願商標との間で「混同を生ずるおそれがない」と判断できるものについては、登録を認めるというものです。そして、今般の改訂により、以下のケースが「混同を生ずるおそれがない」と判断できるものとして明確化されました。

①出願人と先行登録商標権者に支配関係等がある場合

②両商標が使用される商品又は役務の出所が実質的に同一である場合

なお、コンセント制度が導入される以前から、出願人と先行登録商標権者に支配関係等があるケースについては、所定の要件を満たす場合、第4条第1項第11号には該当しないものとして取り扱われてきました(改訂前の商標審査基準第4条第1項第11号の13.および商標審査便覧42.111.03)。また、コンセント制度の導入後も、同制度と上記規定が併用されてきたところ、今般の改訂でコンセント制度の中に組み込まれ、「出所の混同のおそれがない」ものとして明確化されました(商標審査基準第4条第1項第11号の13.が削除され、第4条第4項の4.(3)が新設されました。併せて、商標審査便覧の42.111.03が削除され、42.400.03が新設されるとともに、42,400,01が改訂されました)。これにより、引用登録商標権者の承諾及び支配関係の存在を証明する書類の提出があれば、コンセント制度が適用されることになります。

※特許庁では、出願人と引用商標権者間に支配関係が認められた出願の事例をHP上で公開しています。出願人と引用商標権者間に支配関係が認められた出願の一覧

また、コンセント制度の導入後において、同制度に基づき登録が認められた諸事例の中には、出願人と先行登録商標権者の関係性に着目し、商品又は役務の出所が実質的に同一であることから混同を生ずるおそれがないと判断された事例(先行登録商標第4549986号とコンセント適用による登録商標第6939829号。以下参照。)や、出願人と先行登録商標権者が共に関与する事業の実施状況に着目し、商品又は役務の出所が実質的に同一であることから混同を生ずるおそれがないと判断された事例(先行登録商標第6568955号とコンセント適用による登録商標第6927596号。以下参照。)があり、このようなケースも「混同を生ずるおそれがない」と判断できるものとして明確化されました(商標審査基準第4条第1項第11号の11.が削除され、4条第4項の4.(4)(イ)が新設されました。併せて、商標審査便覧の42.400.01が改訂されました)。

<特許庁資料より> 産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会 第37回商標審査基準ワーキンググループ 資料1 商標法第4条第4項等に関する商標審査基準の改訂について