指定商品・役務の表示における材質や用途等の記載

指定商品・役務は、商標とともに権利範囲を定めるものであり、その内容及び範囲は明確でなければなりません。商標登録出願において、願書に記載された指定商品・役務が所定の要件を満たしていない場合、商標法6条1項又は2項もしくはその双方に基づく拒絶理由が通知されることになります(『商標審査便覧』46.01)。

・願書に記載された指定商品又は指定役務が不明確で、かつ願書に記載された商品及び役務の区分が政令で定める区分に従ったものと判断できないとき→6条1項及び2項の拒絶理由

・願書に記載された指定商品又は指定役務は不明確であるが、願書に記載された商品及び役務の区分が政令で定める区分に従ったものと判断できるとき→6条1項の拒絶理由

・願書に記載された指定商品又は指定役務は明確であるが、願書に記載された商品及び役務の区分が政令で定める区分に従っていないとき→6条2項の拒絶理由

ところで、2021年における『商標審査便覧』の改訂に伴い、「指定商品又は指定役務について、材質や用途等の記載がない場合であっても、区分を考慮すれば材質や用途等が特定できるときは、第6条第1項及び第2項の要件を具備すると判断する。」という規定が設けられました。その一例として、「郵便受け」(19B35)の事例が挙げられています。すなわち、「第6類において「郵便受け」の指定商品が出願された場合に、「金属製郵便受け」は第6類に、「石製郵便受け」は第19類に、「郵便受け(金属製又は石製のものを除く。)」は第20類に属するように、その材質によって区分が異なるが、このような例は、区分を考慮すれば、上記指定商品は「金属製郵便受け」であると特定できる明確な商品の表示であることから、第6条の要件を具備するものと判断する。」とされており(『商標審査便覧』46.01)、審査の効率化とユーザー負担の軽減の観点からの見直しが行われました。ただし、指定商品・役務によっては、あらかじめ具体的な用途等の記載が求められる場合もあり、かつ、異なる類似群コードが付与されるケースも多々あります。

例えば、商品としてのオイル(油)を例に挙げますと、化学品としてのオイル(油)であれば第1類、化粧品関係のオイル(油)は第3類、工業用のオイル(油)は第4類、薬剤関係のオイル(油)は第5類、動物性や植物性の食用加工品としてのオイル(油)であれば第29類など、複数の区分に横断的に分類されますが、このうち、第4類の商品に着目した場合、同じ区分の中であっても、「原油」は05A02、「潤滑油」は05B01、「工業用油脂」は05C01、「コールタール油」は01A01・05A02、「ペイント用油」は03C01・05C01・25B01など、用途や性質等によって、それぞれ異なる類似群コードが付与されています。

なお、商品・役務の属する区分や、商品・役務の表示は毎年見直しが行われ、たびたび変更されるため、出願時における最新版の情報に留意する必要があります。