産業財産権の侵害と刑事罰

産業財産権の侵害に対する法的措置については、差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求、信用回復措置請求といった民事的な請求を行うことが通常ですが、将来的な抑止力の観点などから、刑事責任を追及するケースもあります。我が国における産業の国際競争力向上のため、産業財産権の保護の強化が必要であるとして、産業財産権侵害に対する刑事罰については、拘禁刑(懲役刑)や罰金額の引上げ等を含む法改正がたびたび行われてきました。

ところで、産業財産権侵害のなかでも刑事事件として立件されることが最も多いのが商標権侵害だと言われています。商標法では、侵害罪について以下のように規定されています。

第78条 商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行った者を除く。)は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第78条の2 第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行った者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

また、特許法でも以下の通り規定されています。

第196条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行った者を除く。)は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第196条の2 第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行った者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

知的財産権の侵害罪については、親告罪(告訴がなければ起訴することができない罪)と非親告罪とがあり、特許や商標に関しては非親告罪となっています。しかし、たとえ非親告罪であっても、積極的に捜査機関の捜査を促すためには告訴状を提出することも必要だと言われています。

なお、 特許庁のHPにも、権利侵害や救済手段についての情報が掲載されています。詳しくは以下のサイトをご参照下さい。

<特許庁HP> 「権利侵害とは」 「被害に遭ったら -救済手段」