立体商標制度は平成8年の法改正に伴い導入された制度であり、最初の登録事例はケンタッキーフライドチキンの創業者(カーネル・サンダーズの愛称で知られる人物)の立体的形状に係る商標です(第4153602号)。なお、令和8年3月時点で、すでに約3000件もの立体商標に係る登録事例を確認することができます(J-PlatPat 特許情報プラットフォーム)。
ところで、立体商標の出願にあたっては、文字商標や図形(平面)商標の場合とは異なり、商標記載欄における立体的形状の表し方やその他の記載事項(【立体商標】の項目のほか、必要に応じて【商標の詳細な説明】を追記する)など、いくつか注意すべき事項があることに加えて、立体商標ならではの拒絶理由にも留意する必要があります。なかでも、見落としがちな点として、商標登録を受けようとする立体的形状からなる商標と指定商品・役務との相関関係が挙げられます。具体例として、『商標審査基準』に以下の事例が挙げられています。

上掲の事例では、商標登録を受けようとする商標記載欄に衛生マスクの立体的形状を表し、指定商品として「衛生マスク」と「医療用手袋」が記載されています。この場合、「衛生マスク」以外の指定商品が当該立体的形状を採ることは想定し得ず、かつ、広告として使用されることも当然に想定し得ないとして、3条1項柱書に基づく拒絶理由に該当するとされています。
<特許庁HPより> 『商標審査基準』二、第3条第1項柱書 6.立体商標について (7)商標としての「使用」が当然に想定し得ない場合
なお、上掲の事例において、指定商品から「医療用手袋」を削除することで当該拒絶理由は解消されますが、衛生マスクの立体的形状からなる商標に対して、「衛生マスク」が指定商品であることから、別途、識別力の欠如に基づく拒絶理由が通知され得ることに留意する必要があります。
※当ブログでは、立体商標と商標権侵害に関する記事も掲載していますので、併せてご参照下さい(ブログ 2025.09.09)。